「愛」と「恋」の違いについて考える
こんばんは。
今日は、ちょっと前に書こうと思って映画の話に脱線した「愛」と「恋」の話をしようと思います。
また脱線したらすみません。
愛と恋の違いってなんでしょうか。
一言で説明するのは難しいので、傾向として見て行こうと思います。
まず「一目惚れ」という言葉があります。
タイプの子を一目見ただけで好きになっちゃうっていう世界的に有名な人間の心の現象のあれですが、一目惚れって「恋」ですよね。
「愛」じゃない。
だって、一目惚れで「恋しちゃう」ことはあっても、一目惚れで「愛しちゃう」ってことにはならないと思うんです。
言い方はともあれ
「一目見たときから恋してました!付き合ってください!」
って告白はピュアだけれど、
「一目見たときから愛してました!付き合ってください!」
はちょっと怖い。
「恋」は表面的にも成り立つものである一方、「愛」は内面まで深く入り込む必要があるように思います。
というのも、「愛」って好きとか嫌いを超越した感情だと思うのです。
相手の良いところも悪いところも、好きなところも嫌いなところも受け入れた上で成り立つものとでも言いましょうか、相手の全てを包み込んで許すような、そんなようなイメージを僕は持っています。
そのイメージを言葉にすると、僕は「慈しむ(いつくしむ)」という言葉を思い出しますが、慈しむって実は「愛しむ」とも書きます。
まさに「愛」なんです。
そして「愛」は、家族や友人、ペットなんかにも注がれます。
「家族を愛す」「我が子が愛くるしい」「ペットを愛でる」などなど、いろいろな言い方がありますね。
「友人を愛してる」って字面は少しニュアンスとして怪しいですが、でも「友人が好き」っていう気持ちは誰でも持ってると思います。
それをここでは「愛」として捉えたい。
かたや「恋」って、一般的な言葉で言う「恋愛」の文脈でしか使われません。
「俺あいつのことが好きなんだ」っていう気持ちを「恋」とするのだと思います。
片想いをまさか「愛」とは言わないでしょう。
それに「家族を愛す」は成り立っても、「家族に恋する」では意味が全く変わってきます。
「恋」とは心の状態であり、「愛」は相手に注ぐもの、とも言えるかもしれません。
「恋する」と「愛する」の「する」は、全然意味が違いますからね。
「恋は盲目」なんて言葉もあります。
一直線にそれしか見えないような状態を言うわけですが、もはや愛はその状態にないんだと思います。
もし仮に「愛は盲目」と言う人がいるとしたら、僕の感覚では盲目である以上それはまだまだ「恋」です。
逆説的ですが、盲目であることが「恋」の状態であり、それを越えた先に「愛」という感情が待っているのだと思います。
例えば、僕は『BUMP OF CHICKEN』というバンドが好きでした。
好き “でした” というのも、長くBUMPに「恋」してたんです。
恋してるときは、全ての曲が良いものだと思ってたし、全ての映像作品が良いものだと信じて疑わなかったです。
恋として盲目的であり、作品を正しく評価しようという気概はなく、無条件に「全部好き」という状態にあったわけです。
彼等のやること全てが正しいものとして受け入れていたのです。
だけれども、あるアルバムが新しく発売されたときに、僕のイメージしていた「BUMP OF CHICKEN」とはかけ離れたものを感じ、心が一気に離れました。
要するに、百年の恋も冷めるような衝撃を受けたのです。
「恋」ってこれがあるから怖い。
それから少し新しい曲を聴かなくなったりしたのですが、なんだかんだ気になって、また聴き始めます。
そうすると、その中には良いと感じるものも、良いとは感じないものもありました。
つまり、一度心が離れたおかげで「恋」ではなくなり、一リスナーとして冷静になったわけです。
さて、それを踏まえた上でどう感じるか、ということでしょう。
良いと感じるものもあるし、そうとは感じないものもある、それで心が完全に離れる人もいると思います。
だけれども、それらを全部ひっくるめた上で、改めて僕は彼等に頑張ってほしいと思えたし、応援していたい気持ちになりました。
この気持ちをまさに僕は「愛」だと感じたのです。
良い悪いも、好きも嫌いも受け入れて、そばに置いておきたい気持ち。
僕は今『BUMP OF CHICKEN』を愛してるんだ、と。
こうなると、はっきり言って、そんじょそこらのファンよりやばいやつです。
そしてそういう人ほど声は小さいものです。
菩薩のように見守っているから。
いまや、キャーキャーワーワー言ってる人達を見て、彼等は本当にBUMPが好きなんだなーと思いながら、温かく見守っています。
まあ、単純に大人になったっていうのもあるかもしれませんが(笑)。
そしたらこの解釈は間違ってるってことになるから、また考え直さなきゃいけないな。
つまるところ、大人についても考えなくちゃいけない。
大人ってなんだろな。
完