楽器を弾くのに必要な筋肉は楽器を弾くことによって身に付くの
2020/05/20
何かしら楽器を弾くには筋肉が必要なわけですが、それについて前々から思っていたことを書きたいと思います。
何かというと、楽器は多くの場合、何かを押さえ込む力が必要になります。
けれども、それと同じくらい離す力も必要だと思うのです。
例えばギターならば、弦を押さえます。
弦を押さえるのはとても力がいるものですから、多くのギター参入者が、全ての弦を一本の指で押さえる Fコード で挫折することは有名かと思います。
速弾きをするにも、その分押さえる力が必要でしょう。
だからこういう器具まで存在します。
これは何かというと、指一本一本の筋力を鍛えるための器具です。
カチャカチャと指の筋トレをして、押さえ込む力を付けるのが目的です(ぼくも持っています)。
しかしながら、それと同じくらい離す力も必要だと思うのですね。
どうしてかというと、弦を押さえた指は一度離すからです。
当たり前のことのようだけれど、意外と見落としがちな点なのではないでしょうか。
ピアノも同じです。
弾くときは押さえるけど、速く鍵盤移動をしようと思ったら、押さえた指を離す筋力も必要です。
ドラムのバスペダルも一緒です。
踏み込む力が必要なのは当然のことながら、今度はそれを離す力も必要です。
脚全体を上げる筋肉だったり、足首から先を上に上げる筋肉だったりです。
個人的にこのバスペダルの筋肉がわかりやすいと思っています。
ぼく達人間は歩くときや走るとき、足首から先をクイッと曲げて蹴り出します。
つまり足首から先を下に下げる運動です。
でも足首から先を上に上げる運動は、日常生活でまずしないでしょう。
その証拠にほら、足を地面に付けてペタペタとつま先を上げる運動をしてごらんなさい、とっても疲れるでしょう。
「え?あんまり疲れなくない?」
という人は、こういう速い曲をライブで何曲も演奏することを想像していただいて、軽く5分くらいでも刻んでもらえれば辛さがわかるかと思います。
そんな風に、傾向として押さえ込む力ばかりが注目されがちのような気がするけれど、実はそれと同じくらい離す力も必要なんだろうな、というのがここ最近で感じていたことでした。
とは言え、離す筋力を鍛えるのって難しいです。
手をグッと握る器具はあっても、手をパッと開く器具はないですからね(探せばあるのかな)。
じゃあどうしたらいいのかと言えば、楽器をひたすら弾くほかないのだと思います。
ギターを弾く人なら一度は目にしたことがあると思う伝説の教本『地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ』のコラムにもこう書かれています。
「ギタリストは、一般の人の身体とはまったく異なる筋肉のつき方をしている」
つまり、ギターを弾くための筋肉はギターを弾くことでしか得られない、ということだと言えるでしょう。
ピアノを弾く人にはピアノに適した筋肉が。
ドラムを叩く人にはドラムに適した筋肉が。
そうやって最適化された体になっていくものなのだと思います。
例えばこのダイナ四さんの足の筋肉をご覧になってください、ムッキムキです。
これは筋トレで身に付くものではなく、ドラムを叩いて叩きまくってやっと出来上がる筋肉だと思います。
だから、楽器の演奏が上手になりたいのであれば、楽器を弾き続けるしかないのでしょう。
なんのひねりもない、なんともつまらない話に落ち着いてしまうのですが、結局のところはそういうことなのでしょう。
楽器を弾き続けると、必要分の筋肉は自然と付く。
そうして、それまで弾くのが困難だったフレーズなどが弾けるようになっていくのだと思います。
もちろん、楽器の演奏というのは筋肉に限らず、神経とか脳の話も絡んでくるとは思いますが、とりあえずそういう側面があるということ。
ぼくも小学生のとき逆上がりができませんでしたが、小学5年生で器械体操を習ってから、いつの間にか逆上がりができるようになっていたものでした。
特に逆上がりの練習をしたという覚えはなく、本当に気付いたらできていたのです。
それはまさに器械体操を通して、器械体操に求められる筋肉が自然と付いていったからだと解釈しています。
そうやってぼく達は成長していくの。
だから、続けよう。
ガンボーイ。
完